法人化は所得いくらから?目安より先に決めた私の理由

法人化って、所得いくらからが得なの?

マイクロ法人を調べ始めると、必ずこの疑問にぶつかります。
「所得○○万円が目安」という記事もたくさんあります。

でも先に正直に言うと、私は所得に関係なくマイクロ法人を作りました。
理由は社会保険料を安くしたかったこと、そして「まず法人を作ってみたい」という気持ちです。

この記事では、よく言われる目安を整理したうえで、目安の数字ではなく「自分の維持費と社会保険料の差額」で決める方法を、私の実額(維持費43万円・役員報酬62,999円)を出して書きます。
「個人事業と法人の掛け持ち」を前提にした話なので、二刀流そのものの損得は別記事にまとめています。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。税制や社会保険料は改定されるため、最新の数字は公式サイトや税理士でご確認ください。

目次

よく言われる「法人化の目安」とその根拠

一般的には、課税所得が500万〜900万円前後になると法人化が有利になると言われることが多いです。
幅があるのは、根拠が2つあって、どこを重く見るかで変わるからです。

  • 税率の交差点:所得税は所得が増えるほど税率が上がる累進課税。
    法人税は税率がほぼ一定なので、ある所得を超えると法人のほうが税率が低くなる
  • 給与所得控除:法人から役員報酬をもらう形にすると、個人で受け取る報酬に給与所得控除が使える

この目安は「税金だけ」で比べた場合の話です。
社会保険料と法人の維持費を入れると、答えは人によって変わります。
私が目安の数字を気にしなかったのは、そもそも比べていたものが税金ではなかったからです。

私は所得に関係なく法人を作った

私が2021年にマイクロ法人を作った理由は2つです。

  • 社会保険料を安くしたい
  • まず法人を作ってみたい

当時は「所得がいくらになったら法人化しよう」という発想がありませんでした。
個人事業(不動産の賃貸)はそのまま残し、Web制作を法人で始める形です。
法人から自分に払う役員報酬を低く設定し、その報酬で社会保険(健康保険・厚生年金)に加入すれば、個人事業の所得で計算される国民健康保険から抜けられる。
これが狙いでした。

設立はマネーフォワード クラウド会社設立を使いました。
無料で助かった反面、困った点もあったので、それは別記事に書いています。

損益分岐を決めるのは「維持費」と「社会保険料の差額」

所得の目安より先に見てほしいのが、この2つです。

法人の維持費:私の場合は年43万円

法人は利益がゼロでも費用がかかります。
私の場合、税理士の顧問料(月額11,000円)・決算申告料・マネーフォワード クラウド会計の年額プラン・法人住民税の均等割(70,000円)を合わせて年間約43万円です。
内訳は4年分の実額を別記事で公開しています。

この43万円が、法人化の「入場料」です。
社会保険料や税金の差額がこれを上回らなければ、法人を作る金銭的な意味は薄くなります。

社会保険料:役員報酬62,999円で最低等級に

私の役員報酬は月額62,999円で、設立当初から4年間変えていません。
この金額にすると、健康保険・厚生年金の標準報酬月額が最低等級になり、会社負担分を含めた社会保険料は月2万円台に収まります(協会けんぽ・東京都・2026年時点の私の場合)。

一方、法人を作らずに個人事業だけの場合は、国民健康保険と国民年金です。
国民年金は所得に関係なく年20万円前後、国民健康保険は前年の所得で決まるため、個人事業の所得が大きいほど高くなります。
この「国保+国民年金」と「法人の社保」の差額が、43万円の維持費を上回るかどうか。
私の損益分岐はここだけでした。

役員報酬の決め方と社会保険料の詳細は、こちらにまとめています。

自分でざっくり試算し、税理士と詰めた

法人化の前に、私は3つを自分で試算しました。
精密な計算ではなく、ざっくりです。

  1. 税金:個人のままの所得税・住民税 と 法人税・均等割+役員報酬にかかる所得税
  2. 社会保険:国保+国民年金 と 法人で加入する健康保険+厚生年金
  3. 維持費:税理士の顧問料と決算申告料・会計ソフト・均等割

そのうえで最終的な数字は税理士と一緒に詰めました。
結果はほぼ想定どおりでした。

ここで伝えたいのは「自分で試算しても、税理士と大きくは変わらなかった」ということです。
細かい控除や税率を追いかけるより、「維持費43万円を、社保と税の差額が上回るか」の一点を見れば、方向性は自分で判断できます。
精度を上げるのは、そのあと税理士に任せれば十分です。

所得別に見ると、どこで変わるか

私の経験と一般的な目安を合わせると、考え方は次のようになります。
数字は目安で、実際は家族構成や自治体で変わります。

個人事業の所得法人化の主な効果私の見方
〜300万円前後税の差はほぼ出ない。社保の差額も小さい維持費を上回りにくい。急がない
300万〜600万円前後国保が高くなり始め、社保の差額が出やすい二刀流前提なら検討に値する(私はこの発想で作った)
600万〜900万円前後社保に加えて税率差も出やすいよく言われる「目安」はこの帯
900万円超税・社保の両方で差が出やすい法人化しない理由のほうが少ない

私が作ったのは所得がまだ小さい段階でした。
それでも成立したのは、個人事業の所得を残したまま法人の社保に入る「二刀流」だったからです。
個人事業をすべて法人に移してしまうと、国保から抜ける効果は同じでも、法人側の利益に法人税がかかるため計算が変わります。

資本金をいくらにするかも、法人化の効果とは別に決めておく必要があります。

法人化を急がないほうがいい人

  • 個人事業の所得がほとんどなく、国保の負担も小さい人(社保の差額が出ません)
  • 年43万円前後の維持費を「重い」と感じる人(利益が出なくても毎年かかります)
  • 試算の前提(所得・家族構成・年金の加入状況)が自分で整理できていない人

最後の人は、法人を作る前に税理士に一度相談したほうが早いです。
私は自分で試算してから相談しましたが、最初から相談する形でも構いません。
「法人化すべきかどうか」の段階から相談に乗ってくれる税理士法人もあります。

よくある質問

Q1. 法人化の目安は所得いくらですか?

A. 税金だけなら課税所得500万〜900万円前後と言われることが多いです。
ただし社会保険料と維持費を入れると人によって変わります。
私は所得に関係なく、社会保険料の差額で決めました。

Q2. 所得が低くても法人を作る意味はありますか?

A. 個人事業の所得を残す「二刀流」なら、社会保険料の面で意味が出る場合があります。
法人の役員報酬を低く設定して社保に加入すると、国民健康保険から抜けられるためです。
ただし維持費を上回るかは試算が必要です。

Q3. 法人の維持費はいくらかかりますか?

A. 私の場合は年43万円前後です。
税理士の顧問料と決算申告料・会計ソフト・法人住民税の均等割が内訳です。
均等割の70,000円は利益がゼロでもかかります。

Q4. 役員報酬はいくらにすればいいですか?

A. 社会保険料を最低等級にするなら、私は月額62,999円にしています。
金額は目的によって変わるので、法人の利益や個人の他の所得と合わせて決めます。

Q5. 法人化の判断に税理士は必要ですか?

A. 方向性は自分で試算できますが、最終的な数字は税理士と詰めるのが確実です。
私は自分でざっくり試算したあと税理士に確認し、結果はほぼ想定どおりでした。

まとめ

法人化は「所得いくらから」で決まるものではなく、維持費と社会保険料の差額で決まるというのが、私が実際に作って分かったことです。

  • よく言われる目安(課税所得500万〜900万円前後)は税金だけの話
  • 私は所得に関係なく、社会保険料を安くする目的で法人を作った
  • 損益分岐は「維持費43万円」を「社保+税の差額」が上回るか
  • 役員報酬62,999円で社保を最低等級にし、個人事業は二刀流で残した
  • 自分でざっくり試算し、税理士と詰めた結果はほぼ想定どおり

目安の数字を探すより、自分の維持費と差額を一度計算してみてください。
それだけで「今すぐ作るか、まだ待つか」は見えてきます。

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