本店移転の登記を自分でした手順|同じ区内なら取締役の決定だけ

会社の本店を移したい!

でも登記って自分でできるの?

マイクロ法人を運営していると、事務所を移すタイミングがやってきます。

私は2023年に、会社の本店を同じ区内で移転しました。
登記の申請は、司法書士には頼まず自分でやっています。

この記事では、そのときの実際の流れを順番に書きます。
同じ区内の移転なら、思っていたよりずっと少ない手順で済みました。

※本記事は2023年当時の私の実体験と、一般的な手続きの流れをまとめたものです。最新の手続きや様式は法務局の案内をご確認ください。

目次

結論:同じ区内の移転なら、取締役の決定だけで登記できた

結論から言うと、本店移転の登記は自分でできました。

私の場合、やったことは次の4つだけです。

  • 取締役の決定書を作る(移転先と移転日を決める)
  • 法務局に本店移転の登記をオンラインで申請する
  • 登記が終わったら、法務局で証明書を受け取る
  • 税務署などに届け出る

ポイントは、定款を変える必要がなかったことです。
そのため株主総会も開かず、取締役の決定書1通だけで申請できました。
費用は、法律で決まっている登録免許税の3万円です。

私が本店を移転した理由

私の会社は、実家の土地で不動産の賃貸もしています。

2023年、両親が実家の家に住まなくなり、その家が空き家になりました。
そこで、その家を会社の事務所として借りることにし、あわせて本店もそこへ移しました。

この家の土地は、その後マンションの建設につながっていきます。
個人と会社で土地と建物をどう分けているかは、こちらにまとめています。

定款を変えずに済んだ理由

定款の本店所在地を「区」までにしていた

本店移転で一番の分かれ道は、定款を変える必要があるかどうかです。

定款の本店所在地は、番地まで書く方法と、「東京都○○区」のように市区町村まで書く方法があります。
私の会社は、設立のときに区までの書き方にしていました。

そのため、同じ区内で移転するなら、定款に書いてある本店所在地は変わりません。
定款変更がいらないので、株主総会の決議も不要でした。

決めるのは「取締役」

定款を変えない本店移転では、具体的な移転先の住所と移転日を、取締役が決めます(取締役会がない会社の場合)。
私の会社は取締役が私1人なので、私が決めて、決定書を作るだけです。

会社を作るときに本店所在地を区までにしておくと、あとで区内を移るときに手間が減ります。
設立のときの手順は、こちらに書いています。

区の外へ移るときは、手間も費用も増える

逆に、別の区や市へ移る場合は、定款の本店所在地そのものが変わります。
その場合は株主総会で定款を変更する決議が必要になります。

さらに、移転先が別の法務局の管轄になると、登録免許税は旧管轄・新管轄それぞれに3万円、合計6万円かかります。
同じ区内で、定款もそのままだった私の場合は、手間も費用もいちばん少ないケースでした。

取締役決定書のひな形

私が作った取締役決定書を、個人情報を伏せたひな形にして載せておきます。
○○の部分を自分の会社に合わせて書き換えてください。

取締役決定書

令和○年○月○日、当会社取締役の全員一致をもって、次の事項を決定した。

1.決定事項
本店を○○県○○市(区)○○町○丁目○番○号に移転すること。
なお、移転の時期は、令和○年○月○日とすること。

上記の決定を明確にするため、この決定書を作成し、取締役がこれに記名押印する。

令和○年○月○日
○○株式会社
取締役 ○○○○ ㊞

私の場合は、4月20日に決定書を作り、移転日を翌21日にしました。

登記の申請はオンラインで

移転から2週間以内に申請

本店を移転したら、移転から2週間以内に登記を申請することが会社法で決められています。

私は移転日の4月21日から3日後、4月24日に申請しました。
登記簿には「令和5年4月21日移転 令和5年4月24日登記」と記録されています。

申請書と添付書類

申請書には、主に次の内容を書きます。

  • 会社法人等番号・商号・本店
  • 登記の事由:本店移転
  • 登記すべき事項:移転後の本店と移転日
  • 登録免許税:金30,000円
  • 添付書類:取締役決定書 1通

添付書類が取締役決定書だけだったのも、定款を変えずに済んだからです。

マイナンバーカードで電子署名

申請は、法務局の窓口ではなくオンラインで行いました。
法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を使い、マイナンバーカードで電子署名をしています。

前の年に事業目的を追加したときも、同じようにオンラインで申請しました。
そのときの流れは、こちらに書いています。

登記が終わったら、証明書を受け取りに行った

申請はオンラインで済みますが、登記が終わったあとの履歴事項全部証明書は、法務局へ受け取りに行きました。
証明書の日付は5月8日です。

新しい本店の住所が載った証明書は、このあとの届出や、銀行などへの住所変更で使う場面があります。
1通は手元に用意しておくと安心です。

税務署などへの届出は、税理士に相談して自分で出した

本店が移ったことは、法務局の登記だけでは終わりません。
税務署・都道府県税事務所・年金事務所などにも、住所が変わったことを届け出ます。

私は届出の内容を税理士に相談したうえで、自分で提出しました。

そのほか、法人口座や会計ソフトなど、会社の住所を登録しているサービスも変更が必要です。
私の場合、住所の変更で特に困ったことはありませんでした。

会社を作ったあとに必要な手続きは、こちらに一覧でまとめています。

小さな会社でも、私が最初から税理士をつけている理由はこちらです。

自分でやるか、司法書士に頼むか

メンバーの役割

自分でやるか、頼むかの目安は、次のように考えています。

自分でやりやすい人

  • 同じ市区町村の中で移転する
  • 定款の本店所在地を市区町村までにしている
  • 取締役が自分1人だけ

司法書士に頼んだ方が安心な人

  • 別の市区町村や、別の法務局の管轄へ移る
  • 定款の変更や株主総会の手続きが必要になる
  • 役員変更など、ほかの登記もまとめて済ませたい

同じ区内で、定款もそのままなら、手続きはとてもシンプルです。

よくある質問

Q1. 本店移転の登記は、自分でもできますか?

A. 同じ区内の移転なら、自分でもできます。
私は取締役決定書を作り、オンラインで登記を申請しました。

Q2. 費用はいくらかかりますか?

A. 同じ法務局の管轄内なら、登録免許税の3万円です。
別の管轄へ移る場合は、旧管轄と新管轄でそれぞれ3万円、合計6万円かかります。

Q3. 株主総会は必要ですか?

A. 定款を変えない移転なら、株主総会は不要です。
私の会社は定款の本店所在地を区までにしていたので、取締役の決定だけで済みました。

Q4. いつまでに登記すればいいですか?

A. 移転から2週間以内です。
私は移転日の3日後に申請しました。

Q5. 法務局に行く必要はありますか?

A. 申請だけなら、オンラインで行かずに済みます。
私は申請をオンラインで済ませ、登記後の証明書は法務局へ受け取りに行きました。

まとめ

本店移転の登記は、同じ区内なら自分でできます。

  • 定款の本店所在地が区までなら、定款変更も株主総会も不要
  • 移転先と移転日は取締役の決定書で決める
  • 申請は移転から2週間以内、オンラインなら自宅から
  • 費用は登録免許税の3万円(別の管轄へ移るなら6万円)
  • 登記のあとは税務署などへの届出も忘れずに

これから会社を作る方は、定款の本店所在地を市区町村までにしておくと、将来の移転がぐっと楽になります。

目次