
マイクロ法人を設立したはいいものの、このあと何をすればいいの?
いつ、どんな書類を出すんだろう?
と不安になっていませんか?
設立直後の法人にとって最も多い“落とし穴”が、「知らなかった」ことで期限を過ぎてしまうミスです。
なぜこのようなミスが起きるのか?
それは「個人と違い、法人は自分から動かないと何も始まらない」からです。
税務署や役所は「やることリスト」を配ってくれません。知らなかったでは済まされないのが、法人運営の現実です。
私自身、マイクロ法人を立ち上げて運営しながら、顧問税理士と連携しつつ、1年目に必要な実務を一つずつ整理してきました。
だからこそ、自信を持って「最低限これだけ押さえればOK」という6つのステップを提示できます。
この記事では、マイクロ法人の1年間にやるべきことを、初心者にもわかりやすく時系列で解説します。
読み終えるころには、「何をいつやるべきか」がはっきりし、余計なストレスや手戻りを防げるはずです。
① 設立直後にやること(税務署・年金事務所などへの届出)


マイクロ法人を設立した直後は、税務署や年金事務所に複数の届出が必要です。
これらは会社運営の基盤となる「義務」であり、放置すると後々トラブルやペナルティの原因にもなります。
法人を設立すると、「個人」とは異なり、さまざまな法的・税務的な義務が発生します。
特に、税務署・年金事務所への届け出は、設立後1〜2ヶ月以内に対応が必要なものが多く、早めの準備が重要です。
具体例
提出すべき主な書類は以下の通りです:
書類名 | 提出先 | 提出期限 | 内容 |
---|---|---|---|
法人設立届出書 | 税務署 | 設立後2ヶ月以内 | 法人設立を税務署に報告 |
青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立後3ヶ月以内 or 第1期の期末日まで | 青色申告の承認を得るため |
給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 給与支払開始から1ヶ月以内 | 給与支払開始の届出 |
源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 税務署 | 給与支払開始前 | 源泉所得税を年2回にできる特例の申請 |
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 | 設立後すぐ | 社会保険の加入手続き |
法人を設立しただけでは完結ではありません。
届出を正しく行ってはじめて、法律上の「会社」として機能し始めます。
設立時の各種書類は「マネーフォワード クラウド会社設立」などの支援ツールを使えば、効率的に準備できます。
関連記事:




② 決算・法人税申告とスケジュールの全体像を押さえる


決算と法人税申告は、マイクロ法人にとって「年1回の一大イベント」です。
忘れがちなタイミングや作業の全体像を把握しておくことで、あわてることなく対応できます。
決算日は自由に決められますが、「決算から2ヶ月以内に法人税申告」が原則です。
このスケジュールを逆算して準備を進めることが重要です。
マイクロ法人は、通常3月や12月などに決算日を設定するケースが多いですが、どの月を決算月にするかで、法人税の申告スケジュールも変わります。
法人の1年の締めくくりとなる「決算」では、会計帳簿の締めや損益の確定、必要な書類の整備など、やるべきことが多くあります。
そして、その後の法人税申告は、決算月の翌日から2ヶ月以内に提出・納付しなければなりません。
決算から申告までの流れ(例:12月決算の場合)
作業内容 | 期限 | 備考 |
---|---|---|
決算確定 | 12月末 | 会計帳簿を締める |
法人税申告書の作成 | 翌年2月末まで | 原則2ヶ月以内 |
法人税・消費税の納付 | 翌年2月末まで | 期限までの納付が必須 |
総勘定元帳や証憑整理 | 通年〜決算時期 | 電子帳簿保存法対応も検討する |
「マネーフォワード クラウド会計」を使えば、帳簿の自動仕訳・レポート作成などが可能で、決算時の作業を大幅に効率化できます。
決算・法人税申告の流れを早めに把握し、会計ソフトなどで仕組み化しておくことが成功のカギです。
③ 源泉徴収と納付のルール


役員報酬や外注費の支払いには、「源泉徴収」という“見えにくい義務”がついてきます。
忘れるとペナルティの対象に。
源泉徴収は“納税者としての義務”です。
ただし、「納期の特例」を使えば、年2回の納付にまとめられ、手間が大幅に軽減されます。
なぜ重要か?
マイクロ法人が役員や外部の個人に報酬を支払う場合、所得税を天引き(源泉徴収)して、税務署へ納付する必要があります。
これを怠ると…
- 延滞税・加算税の対象に
- 法人の信頼性にマイナス
- 最悪の場合、税務調査の対象に
対象となる支払い例
支払い項目 | 源泉徴収の要否 | 補足 |
---|---|---|
役員報酬 | 必須 | 月額報酬の源泉税を計算して納付 |
外注費(個人) | 必須 | 原稿料・講演料など |
外注費(法人) | 不要 | 相手が法人なら源泉徴収不要 |
アルバイト・パート代 | 必須 | 給与扱いとなる |
「納期の特例」を活用しよう
毎月の源泉税納付は負担…という方は、「納期の特例」の申請(税務署へ提出)を行いましょう。
これにより、納付回数は年2回にまとめられます。
区分 | 納付期限 |
---|---|
上半期(1〜6月分) | 7月10日まで |
下半期(7〜12月分) | 翌年1月20日まで |
申請しておけば、役員報酬の支払いがある法人にも適用可能です。
クラウドサービスで自動化が安心
源泉徴収の計算や納付漏れを防ぐには、クラウドサービスの導入が効果的です。
私は マネーフォワード クラウド会計
例えば…
- 報酬額に応じた源泉徴収税の自動計算
- 納付書の作成まで自動化
- クラウド会計と連携し、仕訳も自動登録
初心者でもミスなく管理しやすくなるため、私は導入してよかったと感じています。
関連記事:




④ 法人住民税の支払いと管理


法人を持てば、利益が出ていなくても「均等割」という住民税の支払いが必要になります。
マイクロ法人を設立したばかりの方の中には、「利益がなければ税金も発生しない」と思い込んでいる方も多いかもしれません。
しかし、法人住民税には利益の有無にかかわらず発生する「均等割」があるため、事業が赤字でも納税義務は発生します。
法人住民税には以下の2つの構成があります:
項目 | 概要 |
---|---|
均等割 | 所得がなくても必ず支払う年額の定額税。最低7万円(※資本金1,000万円超で10万円以上) |
法人税割 | 法人税額に応じて課税される部分。利益がある場合のみ発生 |
均等割は地方自治体によって若干の差がありますが、東京都では資本金1,000万円以下の法人であれば「7万円」が基本となります。
この税額は、決算期の2カ月後までに支払う必要があります。
経理管理はクラウド会計で自動化が安心
法人住民税の納付期限を忘れてしまうと、延滞税や加算税が発生するリスクもあります。
私は、マネーフォワード クラウド会計 を使って、納税予定を決算月とあわせてスケジュール管理しています。
- 自動仕訳で住民税の経費処理もスムーズ
- 支払い時の記録漏れを防げる
初心者の私でも、安心して会計処理を進められています。
関連記事:




⑤ 役員報酬の決定と社会保険の検討


マイクロ法人の役員報酬は、毎年の「金額」と「時期」の設定が節税と社会保険料に直結します。
設立後しばらくして「とりあえず報酬はゼロで」としていた結果、あとから報酬を出したくなっても損金算入できない…というケースが多発しています。
また、報酬金額が変わると、健康保険・年金保険料が増減するため、生活設計にも影響します。
役員報酬は、事業年度開始から3カ月以内に定期同額で決定する必要があります。(=途中からの変更は原則NG)
その金額は、法人税と社会保険の両方に関係します。
項目 | 高く設定した場合 | 低く設定した場合 |
---|---|---|
法人の経費 | 増える(=法人税減) | 減る(=法人税増) |
個人の所得税 | 増える | 減る |
社会保険料(本人・法人負担) | 増える | 減る |
報酬ゼロにすれば一時的に法人にキャッシュが残せますが、社会保険未加入や信用低下といったリスクもあります。
実例
私の場合は、以下のように設計しました:
- 役員報酬をあえて低めに設定
- 社会保険は低めの設定で加入
- その分、法人の利益を投資に回し、内部留保を確保
このように、マイクロ法人は報酬設計=経営戦略になります。
クラウド給与でシミュレーションも簡単に
役員報酬のシミュレーションや支給管理は、「マネーフォワード クラウド給与」を使うと マネーフォワード クラウド会計にも
- 社会保険・源泉税を自動計算
- 給与明細の発行もワンクリック
- 会計ソフトとも自動連携(会計側と同じマネーフォワードの場合)
クラウド会計とセットで使えば、経理と給与管理の一体運用が実現できます。
関連記事:




⑥ 年末調整・法定調書を提出する(1月までに対応)


マイクロ法人でも、役員に給与(役員報酬)を支払っている場合は、年末調整と法定調書の提出が必要です。
1月は提出期限が集中する時期なので、事前の準備が重要です。
年末調整と法定調書の提出は、1月末が提出期限。
年明けすぐに作業できるよう、12月中に準備を済ませておきましょう。
マイクロ法人が支払う役員報酬は、原則として源泉徴収の対象です。そのため、年末には年末調整が必要となり、翌年1月には「法定調書」および「給与支払報告書」の提出が義務付けられています。
対応が遅れるとペナルティの対象になることもあるため、小規模法人であってもこの業務は避けて通れません。
年末調整・法定調書でやるべきこと
作業内容 | 対応期限 | 提出先 | 補足 |
---|---|---|---|
年末調整 | 12月中 | 社内(帳簿・源泉徴収票) | 役員報酬に対して |
給与支払報告書の提出 | 翌年1月末 | 各市区町村 | 役員の住民税に関連 |
法定調書合計表の提出 | 翌年1月31日 | 税務署 | 報酬・料金など含む |
源泉所得税の納付(納期特例) | 翌年1月20日 | 税務署 | 7〜12月分まとめて納付 |
「マネーフォワード クラウド会計」と「クラウド給与」を連携して使えば、年末調整の処理や帳票出力も効率化できます。
マイクロ法人でも、税務署や自治体への提出は怠ると罰則対象になります。
1月末の提出期限を厳守しましょう。
まとめ:年間ルールを押さえて、マイクロ法人を安心運営しよう


マイクロ法人の1年間の流れを押さえておけば、節税メリットを活かしながら、手続きや税務の不安を最小限にできます。
設立したばかりでも、今回のステップに沿って進めれば、誰でも仕組み化・効率化が可能です。
この記事で学べるポイントまとめ
- 設立直後の各種届け出とタイミング
- 決算と申告の流れ・スケジュール感
- 源泉徴収や年末調整の対応時期と方法
- 法人住民税や社会保険の管理ポイント
- 年間ルールを仕組み化することで運営が安定
マイクロ法人を効率運営する
- 「やること」を明確にすれば、法人運営が怖くなくなる
- クラウド会計などのサービスを活用すれば、経理や税務の負担も軽減
- 税理士やツールの力を借りて「本業」に集中できる環境が作れる
まずはできることから始めよう!
法人向けの【クラウド会計ソフト】で日々の記帳をラクにしてみる
設立直後の届け出を一括サポートしてくれるツールを活用
マイクロ法人の運営は、年間スケジュールに沿って「習慣化」すれば怖くありません。
1つずつ整えて、あなたの在宅FIREに向けた法人運営を“仕組み”で加速させましょう。