
会社の事業目的に、あとから新しい事業を足したい。
でも司法書士に頼むほどのことなのかな?
マイクロ法人を運営していると、そんな場面がやってきます。
私は2021年にWeb制作の会社を設立し、翌2022年に事業目的へ「不動産の賃貸及び管理業務」を追加しました。
定款の変更から登記の申請まで、司法書士には頼まず自分でやっています。
この記事では、そのときの実際の流れを順番に書きます。
株主が自分1人だけのマイクロ法人なら、思っているよりずっとシンプルでした。
※本記事は2022年当時の私の実体験と、一般的な手続きの流れをまとめたものです。
最新の手続きや様式は法務局の案内をご確認ください。
結論:株主1人のマイクロ法人なら、自分で追加できた


結論から言うと、事業目的の追加は自分でできました。
やったことは、大きく分けて次の3つだけです。
- 株主総会で「定款を変更する」と決める(議事録を作る)
- 法務局に変更登記を申請する(私はオンライン)
- 登記のあと、税務署などに届け出る
株主が自分1人なので、株主総会といっても自分で決めて、議事録を作るだけです。
費用は、法律で決まっている登録免許税の3万円が中心になります。
私が事業目的を追加した理由


私の会社は、設立時の事業目的がWeb制作だけでした。
設立して1年ほどたった2022年、両親から空き家の相談を受けました。
実家の隣の土地にある空き家を、どうにかしてほしいという相談です。
そこで考えたのが、空き家を解体して駐車場にし、会社で貸し出す方法です。
会社で不動産の賃貸をするには、事業目的に不動産の賃貸を入れておく必要があります。
税理士にこのアイデアを伝えて相談したうえで、すぐに事業目的を追加することにしました。
この空き家がきっかけで、今は個人と法人の両方で不動産の賃貸をしています。
その経緯と、個人と法人の分け方はこちらにまとめています。


定時株主総会に、定款変更をまとめて乗せた


決算の承認と同じ日に決議した
事業目的を変えるには、株主総会で定款を変更する決議が必要です。
私がやったのは、決算を承認する定時株主総会に、定款変更の議題をまとめて乗せることでした。
私の会社は9月決算で、第1期の決算を承認する定時株主総会を2022年11月7日に開いています。
その議題に「定款変更の件」を加えて、決算の承認と事業目的の追加を同じ日に決めました。
定時株主総会は、毎年の決算のたびに必ず開くものです。
そこにまとめれば、定款変更のためだけに臨時の株主総会を別に開く必要がありません。
議事録も1通で済みます。
株主が自分1人のマイクロ法人なら、決算の時期に合わせて変更を考えておくと手間が減ります。
マイクロ法人で毎年やることは、こちらに一覧でまとめています。


事業目的の文言は「全部書き直す」形にした
定款の目的は、追加する1行だけを書くのではなく、変更後の目的を全部並べ直す形で決議しました。
実際に決議した変更後の目的は、次のとおりです。
- ウェブサイトの企画、デザイン、制作、販売、運営及び管理
- インターネットによる情報提供サービス、広告業務及び情報収集サービス
- 不動産の賃貸及び管理業務(今回追加)
- 前各号に附帯関連する一切の事業
もともと3番目にあった「前各号に附帯関連する一切の事業」を4番目に下げ、空いた3番目に不動産の賃貸を入れています。
「附帯関連する一切の事業」は最後に置くのが一般的な書き方なので、追加するときはこの順番に気をつけてください。
帳簿と決算は、ふだんから整えておく
定時株主総会では、決算書類(貸借対照表・損益計算書など)を承認します。
この決算書類は、日々の帳簿から作られます。
私は設立のときからマネーフォワード クラウド会計で帳簿をつけ、決算と申告は税理士にお願いしています。
帳簿が整っていると、定時株主総会の準備も、議事録に書く決算書類の名前もすぐにそろいます。
マイクロ法人でのプランの選び方は、こちらで詳しく書いています。


議事録のひな形(株主1人の会社)


私が作った議事録を、個人情報を伏せたひな形にして載せておきます。
○○の部分を自分の会社に合わせて書き換えてください。
第○回 定時株主総会議事録
日 時:令和○年○月○日 ○時〜○時
場 所:当社本店
株主の総数:1名
発行済株式の総数:○株
議決権を行使することができる株主の数:1名
議決権を行使することができる株主の議決権の数:○個
出席株主数:1名
出席株主の議決権の数:○個
出席者:代表取締役 ○○○○(議長兼議事録作成者)第1号議案:第○期決算報告書の承認に関する件
当期(令和○年○月○日から令和○年○月○日)における事業状況について、下記書類を提出して事業報告をした。
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表第2号議案:定款変更の件
当会社の定款第○条の目的を次のとおり変更すること。
(目的)
当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1.(既存の事業目的)
2.(既存の事業目的)
3.(追加する事業目的)
4.前各号に附帯関連する一切の事業以上の議案は、全て承認可決された。
上記の決議を明確にするため、この議事録を作成し、議長がこれに記名する。令和○年○月○日
○○株式会社 第○回定時株主総会
代表取締役 ○○○○
「議決権の数」は株式の数と同じです(1株1個の場合)。 私の会社は発行済株式1,000株なので、議決権も1,000個になります。
書き方は、ネットで公開されている記事やひな形を参考にしました。
法務局にはオンラインで申請した


株主総会の翌日に申請
議事録ができたら、法務局に変更登記を申請します。
会社の登記事項が変わったときは、変更から2週間以内に登記を申請することが会社法で決められています。
私は株主総会の翌日、2022年11月8日に申請しました。
登記簿を見ると、目的の欄に「令和4年11月7日変更 令和4年11月8日登記」と記録されています。
申請は自宅からオンラインで
申請は法務局の窓口ではなく、オンラインで行いました。
法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を使えば、法務局へ行かずに自宅から申請できます。
オンライン申請では、申請書にマイナンバーカードなどの電子証明書で電子署名をします。
私もマイナンバーカードで署名したと記憶しています。
会社を作ったときは、公証役場と法務局に実際に出向く必要がありました。
事業目的の追加は、法務局へ行かずに自宅から申請できました。
設立のときの体験は、こちらに書いています。


費用は登録免許税の3万円


事業目的を変更する登記には、登録免許税が3万円かかります。
これは自分でやっても司法書士に頼んでも、誰でも同じようにかかる費用です。
オンライン申請なら、登録免許税はネットバンキング(Pay-easy)で納付できます。
収入印紙を買いに行く必要もありません。
司法書士に頼む場合は、この3万円とは別に報酬がかかります。
自分でやれば、かかるのは基本的に登録免許税だけです。
登記のあとは、届出と税理士への確認


登記が終わっても、それで全部終わりではありません。
事業目的が変わったことを、税務署などにも届け出る必要があります。
私は届出も自分で出し、内容は税理士に確認してもらいました。
毎月の顧問契約をお願いしているので、こうした確認を気軽に頼めるのは助かります。
会社を作ったあとに必要な手続きは、こちらに一覧でまとめています。


小さな会社でも、私が最初から税理士をつけている理由はこちらです。


自分でやるか、司法書士に頼むか


私が司法書士に頼まなかったのは、会社員時代の実務で登記に触れた経験があったからです。
見積もりも取らず、最初から自分でやると決めていました。
自分でやるか、頼むかの目安は、次のように考えています。
自分でやりやすい人
- 株主が自分1人だけの会社
- 追加する事業目的がはっきりしている
- 議事録や申請書を、ひな形を見ながら作るのが苦にならない
司法書士に頼んだ方が安心な人
- 株主が複数いて、株主総会の手続きが複雑になる
- 事業目的の書き方に自信がない(許認可が必要な事業など)
- 本店移転や役員変更など、ほかの登記も同時にまとめて済ませたい
ちなみに私は翌2023年に本店も移転しましたが、こちらも別のタイミングで、自分で登記しています。
よくある質問


Q1. 事業目的の追加は、自分でもできますか?
A. 株主が1人のマイクロ法人なら、自分でもできます。
私も株主総会の議事録を作り、オンラインで登記を申請しました。
Q2. 費用はいくらかかりますか?
A. 登録免許税の3万円が中心です。
司法書士に頼む場合は、別に報酬がかかります。
Q3. 株主総会を別に開かないといけませんか?
A. 決算を承認する定時株主総会にまとめることもできます。
私は定時株主総会の議題に「定款変更の件」を加え、決算の承認と同じ日に決議しました。
Q4. 法務局に行く必要はありますか?
A. 申請だけなら、オンラインで行かずに済みます。
私も申請はオンラインで済ませました。
登記が終わったあとの書類の受け取りには、法務局へ行っています。
Q5. 定款そのものを作り直す必要はありますか?
A. 株主総会の決議で定款は変更されます。
手元の定款は、変更後の内容に書き換えて保管しておくと、あとで確認するときに困りません。
まとめ


定款の事業目的は、株主1人のマイクロ法人なら自分で追加できます。
- 決算を承認する定時株主総会にまとめて決議すれば、臨時総会は不要
- 目的は全部並べ直して決議し、「附帯関連する一切の事業」は最後に
- 申請はオンラインなら自宅から完結
- 費用は登録免許税の3万円が中心
- 登記のあとは税務署などへの届出も忘れずに
新しい事業を始めたいと思ったら、まずは次の決算の時期を確認してみてください。
そこに合わせるだけで、手続きはぐっとシンプルになります。

